ランナウェイ/逃亡者
10月5日(土)からMOVIX京都で公開
アメリカの歴史の裏舞台を大胆に描いた名匠の意欲作
1960年代後半から70年代前半にかけてのアメリカといえば、長期化するベトナム戦争に対する反戦デモが国内で繰り広げられ、ヒッピーと呼ばれる人々が愛と平和のメッセージを発信していた。が、一方で、過激な破壊活動を繰り返す組織もあり、“ウェザーマン”と呼ばれた実在の反体制グループに焦点を当てたのが、この社会派サスペンスドラマ。ロバート・レッドフォードが主演・監督を兼任し、時代を超えた強い問題提起を作品にこめている。
弁護士のグラントは、11歳の娘と暮らすシングルファーザー。温厚な人柄と誠実な仕事ぶりで、周囲からの信頼も厚い。ところが、元ウェザーマンの一員だった女性が逮捕されたことで、地元新聞社の若手記者が動き出す。背景を探るうち、記者はグラントが同じ組織の最重要指名手配犯だという驚きの事実に到達。グラントの決死の逃走が始まるが…。
日本でも同様のケースがあったが、実名や過去を隠し、全く別の人間になりきって生活をするとはどういうことなのか。登場する元メンバーそれぞれの人生が苦みとともにあぶり出されて味わい深く、逃亡劇のスリルもたっぷり。ジュリー・クリスティ、シャイア・ラブーフ、スーザン・サランドンほか新旧の豪華な配役にも注目して。
(ライター 宮田彩未 )