元禄チャリンコ無頼衆・浪花阿保鴉
9月18日(水)まで、大阪新歌舞伎座にて公演中
この躍動感、猥雑(わいざつ)さ これが青春ドラマの心地よさだ
動く、走る、踊る、叫ぶ! 総勢40人近い出演者で魅せる、荒唐無稽(こうとうむけい)な時代活劇である。
時は元禄。庶民文化華やかな大坂の町で、若さにまかせて大暴走する「浪花阿保鴉(なにわあほがらす)」と名乗る若者たち。彼らの武器はなんと、ド派手なデコレーションの改造自転車(劇中ではチャリと呼んでいる)だ。
ところが、あることがきっかけで、彼らは、大阪にはびこる悪を一掃する正義の「阿保鴉」に転身。命をかけて悪を打つ彼らに浪花の人々は大喝采。しかし、その背後には、大きな陰謀がうごめいていたのである―。
どんでん返しに次ぐ、どんでん返し。そして衝撃の顛末(てんまつ)。それぞれの身の上を織り込みながら、殺陣あり、自転車の宙乗りあり、友情あり、恋あり、母子愛ありのこの活劇。
形は時代劇だが、懐かしい昭和の青春ドラマに通じる心地よさがあり、「これは、伝統と革新との融合劇」という、作・演出の横内謙介氏の言葉が納得できる。
なんといっても、「阿保鴉」総長の文七(早乙女太一)をはじめ、若い5人のイケメンたちがいい! そして、奉行・朝田(市川月乃助)と、同心・小田切(上杉祥三)の存在が、みごとにその若い活気を支えている。
(ライター あさかよしこ )