ホーム > > 試写室・劇場から

試写室・劇場から

アンコール!!

TOHOシネマズ二条で公開中

©Steel Mill (Marion Distribution)Limited 2012 All Rights Reserved.

老境にある夫婦が、歌を通じて伝えたかったもの

三浦雄一郎さんが80歳にしてエベレスト登頂を成し遂げたのには驚いたが、近ごろは若者以上に元気なのがシニア世代かもしれない。スポーツを始めたり、新しい趣味に挑戦する人も多かろうが、シニア合唱団にまつわるええ話がこれ。とぼけたユーモアも添えながら、老いた夫婦の間に流れるしみじみとした情感を描いている。

無口なガンコ親父のアーサーと、病気のため車椅子生活だが社交的なマリオンは、長年連れ添った仲のいい夫婦。マリオンの楽しみは、ご近所の合唱団『年金ズ』での活動だが、アーサーは「歌なんてバカバカしい」と、そっぽを向いている。だが、合唱コンクールに向けて練習中のマリオンががん再発によって倒れてしまう。彼女のたっての願いにより、しぶしぶ合唱団に参加することになったアーサーは…。

この夫婦を演じているのが、テレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴ。2人の名優がソロで歌うシーンは、映画の中でも一番の見どころだ。長い年月を共に重ねた男女が、相手に捧げる歌の贈り物なのだから、その波動は涙腺に効いてきて、音楽ってやっぱりすごいとあらためて感じさせてくれる。合唱団がラップやロックを歌う場面も実に痛快! 監督はポール・アンドリュー・ウィリアムズ。

(ライター 宮田彩未 

このページのトップへ