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試写室・劇場から

大奥 第一章

大阪松竹座で、6月21日(金)まで公演中

豪華衣装や舞台美術に彩られ、松下由樹が圧巻の春日の局

徳川の世、江戸城内に、大奥を組織として確立したのは、三代将軍家光の乳母・春日局であった。のちに“女の牢獄”といわれる大奥にまつわる物語は、これまでも映画やドラマで数多く語られてきたが、これは、母性をめぐる女同士の熱い対立が主軸となっている。したがって、大奥爛熟期の艶やかさや、そこで絡み合う妖しい恋模様とはひと味違った、“重(おも)し”の効いたすごみのある舞台に仕上がっている。

わけあって3人の子を残して、嫁ぎ先を離縁されたふく(のちの春日局 松下由樹)は、二代将軍・秀忠(原田龍二)の子・竹千代(のちの家光)の乳母として徳川家に仕えることになる。しかし、秀忠の正室で竹千代の実母の江与(涼風真世)は、このときからふくを敵対視し、その後授かった国松を溺愛。そしてついには世継ぎを巡って対立する事態に。

幕開きのビートの効いた音楽から、まず引きこまれてしまう。さらに舞台美術の見事さ、衣装の豪華さ、そして俳優陣の確かさ。特に、おおらかさと凛(りん)とした存在感の松下由樹、強気ながらどこか危うい涼風真世、ひと癖ありそうな徳川家康を演じる近藤正臣など、実に見応えがある。大奥スリーアミーゴスという、味のあるオバサントリオもナカナカ。

(ライター あさかよしこ 

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