フェニックス~約束の歌~
6月7日(金)からTOHOシネマズ二条で公開
思い上がったアイドル歌手が、心に刻んだ人生の宝とは?
韓国から爽やかさを残す作品がやって来た。主演は、いま最もチケットが取りにくい韓国のロックバンドの一つFTISLANDのボーカル、イ・ホンギ。子役からスタートした俳優としての成果も重ねている彼の魅力と、音楽のすばらしさを前面に出しつつ、生と死についてもしみじみ考えさせてくれる好編だ。
アイドル歌手のチュンイは暴力事件を起こし、そのつぐないとして、社会奉仕活動を命じられたが、派遣された先は、末期患者が暮らすホスピスだった。一見サバサバと生きている個性的な患者たちの音楽バンドといっしょに、チュンイはオーディションをめざすことになる…。
マ・ドンソク、シム・イヨン、イム・ウォニなど韓国映画界の演技派がイ・ホンギを盛りたてる。キュートなホンギを単にクローズアップするだけのアイドル映画になっていないのが何よりイイ。きっちりと周囲の人たちの人物像が濃厚に描かれ、一つの目標を持てた人間は、これほどまでに強くなれるのか、と思う。ラスト近く、息子に語りかける母親のシーンでは、どっと涙があふれてきた。残された時間が短いと知らされると、パニックにおちいる人も多いだろうが、ああ、このように受け止められたらいいなと画面に見入った。ナム・テクス監督。
(ライター 宮田彩未 )