ふわふわの泉
野尻抱介 ハヤカワ文庫・630円
フワフワと生きようとしても、人生は結構ハード!
もっと早く、野尻さんの小説に出合っていればと思うぐらい最後まで飽きさせない一冊です。
舞台は、浜松市の高校。化学部部長の浅倉泉と、唯一の部員・保科昶(あきら)の2人が、文化祭前にフラーレン(炭素原子を結合させた物質)を生成する実験中に遭遇した落雷で、偶然にも空気より軽い炭素が発生。それを“ふわふわ”と名づけ、企業に売ってひともうけをしようと企てます。これがきっかけとなり、彼らを取り巻く環境や、果ては世界情勢までも少しずつ変わっていき…。
努力しないで生きる方法があっても、世の中はそんなに甘くないよというメッセージも読み取れる、フワフワしつつも、ハードなSF小説です。
【紹介者】
大垣書店四条店 小林素紀さん
大垣書店四条店 小林素紀さん
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