シュガー・ラッシュ
10月9日(土)からTOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都で公開
ゲームの裏側の世界を描く想像力豊かな冒険劇
電子機器を利用するゲームにあまり興味のない私だが、このアニメーションは予想をはるかに超えた面白さだ。幼いころ、自分が見ていない時に人形や動物が会話をしてると信じていたことなど思い出し、懐かしい気持ちにもなった。
舞台はゲームセンター。短気だけど気のいい大男のラルフは、あるゲームの中で悪役を演じてきたキャラクターだが、彼はヒーロー役になりたくて仕方がない。ヒーローの証明ともいえるゴールドメダルを入手するために他のゲームに侵入し、やがてヴァネロペという名の少女キャラと出会う。だが、彼女もまた、切実な悩みを抱え…。
ここにあるのは、私たちと同じ喜怒哀楽そのまんま。人間世界にもあるマイノリティー(少数者)に対するいじめや差別問題を思い起こし、主人公たちに共感しながら、声援を送りたくなる。キャラクターの鮮やかな個性、おとぎの国に迷い込んだような色彩感覚、さらに日本のゲームやアニメキャラ、少女ファッション、AKB48の歌など日本的要素も目立つ。おとなも子どもも一緒になって楽しみたい。監督はリッチ・ムーア。
また、同時上映される『紙ひこうき』は、本年アカデミー賞受賞の短編アニメ。心がふわりとなる寸劇で、これもぜひお見逃しなく。
(ライター 宮田彩未 )