今年も、編集部には、たくさんの相談が寄せられました。特に多かったのが貯蓄に関するもの。「住宅」「教育」「老後」の3つのテーマについて、3人の担当者にポイントを解説してもらいました。
物件価格の2割が「住宅購入資金」の目安に
八束和音さん
消費税の引き上げが決まり、「家を買うなら今」とあせっている人もいるかもしれません。でも、マイホームは人生で最大級の買い物。慎重に計画を立てていただきたいと思います。
購入後は「マイホーム」という資産と、「住宅ローン」という負債を抱えることに。賃貸住まいとは大きく状況が異なります。また、ライフプランが変化したからといって、気軽に引っ越しすることも難しくなります。
物件価格が値下がりした場合、「負債」が「資産」を上回らないように、購入時に少なくとも物件価格の2割にあたる頭金は用意しておきたいものです。購入に際しては、税金、登記にかかる費用、ローンの手数料などの諸費用も必要となるので、忘れず見込んでおきましょう。
今は超低金利の上、マイホーム資金の贈与を後押しする税制もあります。ライフプランの見通しが立ち、頭金が準備できた人にとっては、購入に踏み切る良いタイミングかもしれません。今後の安全な家計運営のためにも、無理のない資金計画を心がけてくださいね。
親世代よりも「老後資金」の充実を
薮内美樹さん
現在、厚生年金のモデル(夫40年間会社員、妻ずっと専業主婦)では、現役時代の平均収入に対して年金受給額は約6割となっています。これが、平成50年には約5割に(厚生労働省・平成21年「財政検証レポート」)。つまり、平均収入が38万円とすると、年金受給額は現在の約23万円から19万円、20年間で約1000万円も受け取れる金額が減ることになります。今の働き盛り世代は、親世代よりも、老後のための貯蓄をより多く準備する必要に迫られているといえるでしょう。
また、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢は、60歳から65歳へ段階的に引き上げられています。そのため、2013年4月から2015年3月に60歳を迎え定年する男性は、61歳から受給。定年後年金受給までに空白期間が生まれます。これからのライフプランを立てる上で、「老後資金の確保」は、年齢を問わず優先課題となることは間違いありません。
今から日ごろの生活費を把握し、夫婦2人の老後の暮らしを想定しながら、老後資金の貯蓄を少しずつでも始めてください。決して早すぎるということはないでしょう。
「教育資金」は、長期&金利で効率よく
山副耕一さん
「教育資金」は、多めに見積もることをお勧めします。
進路が定まっていても、入学金や授業料以外の支出を想定することが大切です。例えば、大学受験では、数校分の受験料だけで月の生活費を超えてしまいますし、さらに交通費や宿泊費も必要になります。入試までには、学習塾や予備校の費用、模擬試験代なども見込まれます。
これらの準備に、学資保険などの金融商品を利用する場合は、積み立て期間と運用利回りを考慮。例えば、100万円を貯蓄するとして、10年間で年利0・5%なら年間積み立て額は9万8000円ずつとなりますが、18年間で年利0・5%なら年間5万3000円になります。18年間で年利3%なら、年間4万3000円に。
上手な準備のコツは、積立期間を長く設定するために、できるだけ早くからとりかかること。そして、金利を味方にすることです。
一般的な教育費の情報は、文部科学省の「子どもの学習費調査」や、金融広報中央委員会が運営するサイト「知るぽると」を参考にしましょう。
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