砂漠でサーモン・フィッシング
10月9日(土)からTOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都で公開
一つのロマン? 単なる無茶? 破天荒プロジェクトのてん末
多忙な時期だからこそ、「そんなことありえな~い!」という映画に浸ってみるのも一興。イギリスで40万部のベストセラーになった小説を映像化したものだが、国家の思惑や、恋模様、民族を超えた友情などが綾をなし、「ありえない」が「あってもいいな」に変わっていく過程が楽しい。
水産学者ジョーンズのもとに、あきれるような依頼が来た。それは、砂漠の国イエメンの大富豪が、同国で鮭を泳がせて釣りをしたいから協力してくれというもの。仲介役となった女性コンサルタントのハリエットに、絶対無理と宣言するジョーンズだったが…。
中東との緊張緩和のためにこのプロジェクトを支援し始めたイギリス外務省、金持ちのワガママだと思っていたら意外とふところの広い大富豪などに押され、どんどん巻き込まれていく主人公。だが、この壮大で実現不可能に見える計画こそが、彼や周囲の人間に変化と光を与えていく。鮭釣りの結果は見てのお楽しみだが、ラストはほのぼのとして温かい。
スウェーデン出身のラッセ・ハルストレムが監督。全体の印象としては、ハリウッド寄りのスタイルで仕上げた娯楽作といえるだろう。出演は、ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、クリスティン・スコット・トーマスほか。
(ライター 宮田彩未 )