散歩のとき何か食べたくなって
池波正太郎 新潮文庫・577円
“あるべき姿”を教えてくれる店に出会いたい
池波さんの書き物には、洗練された振る舞い、洒脱(しゃだつ)な心遣い、持つべき美徳が詰まっています。常識だったはずのことがいつしか軽視されつつある中で、本来あるべき端正なたたずまいを持った人物を評する著者の視点にとても引かれます。本書は池波さんの愛すうまい店が数々紹介されていますが、料理の味の描写もさることながら、やはり著者が見ることを忘れないのが店主の人となり。その哲学や心意気を捉える目線に僕は憧れを持ちます。
載っている店を興味本位に訪ねようとするのはやぼ。自分も池波さんのような目を持ち、そのたたずまいであるべき姿を教えてくれるような店に出会えたら幸せです。
【紹介者】
月と六ペンス 柴垣希好さん
月と六ペンス 柴垣希好さん
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