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試写室・劇場から

思秋期

10月27日(土)から京都シネマで公開

©CHANNEL FOUR TELEVISION/UK FILM COUNCIL/EM MEDIA/OPTIMUM RELEASING/WARP X/INFLAMMABLE FILMS 2010

すさまじく悲惨な状況が、愛と希望を育んでいく奇跡!

時間がたっても胸がうずき、そしてもう一度見たくなる。きっと今年の私のベスト3に入るだろう。切実な問題をからませ、悲しくて、痛々しくて…それなのに、爽やかともいえる余韻を残す。お子さま向きではない。喜怒哀楽すべてを包み込んだ、人生の機微の不思議さが、ここにある。

妻に先立たれ、失業中のジョセフは、酒を飲むと大暴れしてトラブルをまき散らしている。その日もいざこざを起こし、逃げ込んだ先がチャリティーショップ。そこで働く女性ハンナと出会って、彼の心はひとときの安らぎを得るが、彼女もまた大きな苦悩を抱えていた。そして、恐るべき事件を起こしてしまう。

救いの手を差し伸べた側がハンナだったのが、物語が進むにつれ、立場が逆転。お互いに被害者であり、加害者でもあるという共通認識が、二人の距離を縮めていく。俳優から転身したパディ・コンシダイン監督の演出が緻密だし、ピーター・ミュランとオリヴィア・コールマンという配役の妙にもうなる。素晴らしい!のひとことに尽きる、ガラス細工のようなラブストーリーだ。

最後の場面を思い出すだけで、涙がにじんでくる。 苦しんだ二人が、時間をかけてつかんだ希望の光に。12歳未満の鑑賞には成人保護者の同伴が必要なPG12指定。 (ライター 宮田彩未)

(ライター 宮田彩未 

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