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試写室・劇場から

桃次郎の冒険

10月8日(祝・月)まで京都劇場で公演中

おとぎ話を題材に、信じること、思いやることの大切さを伝える

『オペラ座の怪人』『キャッツ』など、世界的なミュージカルの上演で知られる劇団四季には、もう一つ大きな特徴がある。それは1964年から上演されているファミリー・ミュージカル。『はだかの王様』『魔法を捨てたマジョリン』などと並び、この『桃次郎の冒険』もその一つである。特に物語の本質を見据える視点が、とてもユニークだ。

これまでの『桃太郎』伝説にあきたらない現代っ子の桃山次郎が、おとぎ話の世界に飛び込んでみると、なんだか変!

おじいさんとおばあさんは欲深だし、犬・猿・キジの三匹の家来は、いいかげんでやる気がない。そして、悪者だったはずの鬼たちは、ちっとも鬼らしくない。その鬼たちとの交流を通して彼は、人として大切なことを学んでいくことに…。

ファミリー・ミュージカルのテーマは『勇気・愛・友情・生命の尊重』など、生きていく上で大切なこと。この作品も、胸を打つストーリー展開と、劇団四季ならではの、上質な歌やダンスを通して、真実を見抜く力の大切さが、心地よく伝わってくる。客席との交流もスムーズで温かく、1973年の初演以来、550回以上も上演を重ねていることも、十分にうなずける。家族と一緒の観劇をおすすめしたい。

(ライター あさかよしこ 

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