わらわし隊、大陸を行く
9月2日(日)まで、なんばグランド花月で公演中
シリアスな状況を吉本流に描く
温かな笑いと感動の舞台
吉本興業創業100周年を記念し、4月から1年間にわたり、同社の歴史物語を月替わりで上演している『吉本百年物語』。その第5弾となる8月公演は、日中戦争勃発から1年後の昭和13年、中国戦線の兵士たちに笑いを届ける演芸慰問団「わらわし隊」として大陸に渡った芸人たちが、繰り広げる物語。
戦地に向かったのは、吉本の大黒柱的存在の林正之助(山内圭哉)、のんき節で社会風刺する石田一松(松尾貴史)、漫才界のじゃじゃ馬娘・ミスワカナ夫妻(水野真紀・木村祐一)、のちに関西お笑い界の重鎮となる花菱アチャコ(藤原光博)、戦地からおとうと弟子を連れて帰るという講談師の神田崋山(里見まさと)など。彼らは、戦地でもマイペースな行動で正之助を悩ませるが、一人の中国人(イン・ジュン)との出会いが、心を和ませる。しかし、戦況はますます激化、正之助が撤退を決意したとき…。
温かさがあふれる舞台である。特に、里見まさとの役者としての器量に驚かされた。また、本場の京劇から特別出演しているイン・ジュンの舞姿は戦地に咲く花のように美しい。
(ライター あさかよしこ )