THE GREY 凍える太陽｜試写室・劇場から

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厳寒地に放り出された男たちの命をかけたサバイバル劇

猛暑の中でも、この映画を見たら、体感温度がぐっと下がること間違いなし！ 雪におおわれたマイナス20度の世界で繰り広げられる物語で、リアルな映像を作るため、役者さんたちは、実際に凍傷もできるような場所での撮影に挑んだという。半端でない寒さが画面から伝わってくる。

射撃の腕を買われ、石油採掘現場で作業員たちを野獣から守る仕事をしているオットウェイ（リーアム・ニーソン）。彼は、愛する妻に去られた心の痛みを抱えており、周囲への関心もなく、投げやりで、自殺を図ろうとまでする。そんなある夜、作業員とともに乗り込んだ飛行機が嵐のせいでアラスカ山中に墜落、生存者は彼を含めて７人だった…。

とてつもない寒さだけでなく、彼らを狙うのは、野生のオオカミ。救助も呼べない土地で、いかに協力し合って脱出できるかが鍵となる。しかし、これをやらないと死ぬしかないという極限状況をはっきり認識できるまで、人はなかなか一致協力できないものなのか。また、自殺まで考えていた主人公が生き残るために力を尽くす半面、生への執着が強そうに見えた男がそれを手放すなど、人間の裏側にも迫るヒューマンドラマである。ジョー・カーナハン監督。撮影は、日本出身のマサノブ・タカヤナギ。

（ライター 宮田彩未　 ）