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試写室・劇場から

桐島、部活やめるってよ

8月11日(土)からTOHOシネマズ二条ほかで公開

©2012「桐島」映画部 ©朝井リョウ/集英社

青春の甘さ・ほろ苦さをちりばめた異色の学園群像劇

せりふのようなタイトルに、イマっぽさを感じ、原作者が89年生まれの朝井リョウだから、まあ若い層向けなのだろうと思いつつ見ていたら、ぐぐっと巻き込まれていった。観客をも巻き込むような映画の作り方を披露したのは、吉田大八監督。同じシーンを違う人物の視点から見せるという方法は、以前この欄でも紹介したオーストラリア映画『明日、君がいない』を思い起こさせる。この手法は、繊細なサスペンス色を出すのに効果的なのだろう。

高校内のアイドル的存在・桐島がバレーボール部をやめるといううわさが流れ、つきあっている彼女やらその周囲の女子、さらに全く関係なさそうな映画部の男子学生コンビ、切ない片思いに胸を焦がしている吹奏楽部の部長など、さまざまな生徒の間に波紋が広がっていく。桐島とは何者か、と思いながら見ていくうち、桐島など別にどうでもよく、彼ら彼女たちの喜怒哀楽に、遠い日の自分を重ねていることにふと気づいた。

あつれきのある運動部と文化部、さらにいずれにも属さない帰宅部。高校という小さな世界にも位置関係が厳然として存在する。それを爆発させるかのようなゾンビ映画撮影場面では大笑い!

神木隆之介、橋本愛、沢島亜矢ほか注目の若手が鮮やかな個性を放つ。

(ライター 宮田彩未 

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