きっと ここが帰る場所
7月21日(土)から京都シネマで公開
心の傷を抱え続けた男が、長い道の果てに見つけたもの
名優ショーン・ペンと、イタリアの俊英監督パオロ・ソレンティーノが意気投合し、ぜひとも一緒にと作り上げたのが、不思議な空気感を放つ本作。一人の男が、父親や世界との関係を取り戻すさまを、オフビートなロードムービーとして見せてくれる。
ロック界のスーパースターだったシャイアンは、ある事件がもとで一線を退いた。ダブリンの街で妻と暮らしつつ平穏なご近所づきあいをしている彼だが、アメリカにいる父親の危篤の知らせを受けとり、久々の遠出をすることになる。それがなんとアメリカ横断の旅にまで発展していく。
「だけど、時々、何かが変だ…」と感じるシャイアンは、子どもの心を持ち続けるナイーブな男。その彼が父親の宿願を知ってから、さまざまな人と進んで会う。先々でめぐり会う人との、不器用で、ユーモラスで、しかし、胸をきゅきゅっと騒がせる場面が濃密。洋楽ファンとしては、元トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンが音楽担当だけでなく、本人役でライブシーンまで披露してくれて大感激!
ほとんど引きこもり状態だった男が、周囲の人間にも光を与えていく物語に魅せられた。妻を演じるフランシス・マクドーマンドの飄々(ひょうひょう)とした個性も面白い。
(ライター 宮田彩未 )