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試写室・劇場から

アスペクツ・オブ・ラブ

7月16日(祝・月)~8月12日(日)、京都劇場で公演

撮影/上原タカシ

甘く不埒な恋のロンドをエレガントにみずみずしく

幾重にも重なってゆらめく紗(しゃ)幕が、5人の男女の心模様、時の流れ、場面の展開を幻想的に暗示していく。小粋でどこか隠微な恋のロンドが、劇団四季独特の浄化されたエレガンスと清潔感で描かれていく。『オペラ座の怪人』をはじめ、多くの名曲を生み出したアンドリュー・ロイドウエバーの作品中、最高傑作といわれる大人のミュージカルである。

南フランスのモンペリエ。17歳のアレックスが、この町の劇場で、年上のフランス人女優のローズに、心を奪われるところから物語が始まる。時が流れ、ピレネーの麓にある山荘を舞台に、34歳になったアレックス、彼の叔父ジョージ、ジョージの妻になったローズ、その娘ジェニー、ジョージの愛人のジュリエッタ。世代や国籍が複雑に絡み合う5人の男女の、愛と嫉妬と裏切りと、そしてその衝撃的な結末と。

テーマ曲となる『ラヴ・チャンジズ・エヴリシング』をはじめ、心憎いまでに流麗で甘美な旋律や、「このアルマニャックが飲めたらね」「コーヒーの前にキッスはいかが?」など、若さゆえに、狂おしく愛を求めるアレックスをもて遊ぶような、ローズのセリフのなんと蠱(こ)惑的なこと! 甘い毒薬の香る、恋のお手本ともいえる名作である。

(ライター あさかよしこ 

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