新版 貧困旅行記
つげ義春 新潮社・661円
自分から“解放”されるには、こんな旅もアリなのかも?
この本は貧困と付いたタイトルからもわかるように、マンガ家・つげ義春が昭和の時代、わびしい土地の貧しげな宿を求め日本各地を巡った旅行記です。つげ漫画の世界観がこうした旅を通じて作られたことがよくわかる一冊だと思います。
なぜ作者がこのような旅をするのかは、本文にもあるように「自分から解放されるには自己否定しかないことを感じ、貧しげな宿屋で零落者のように自己否定し、自分から自由になる」ためなのです。美しい景色やおいしいものに癒やされる旅行もいいけれど、日本に少なくなったわびしい土地の貧しげな宿で自己否定して自分から自由になる、そんな旅もいいのではないでしょうか。
【紹介者】
エレファントファクトリーコーヒー 畑啓人さん
エレファントファクトリーコーヒー 畑啓人さん
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