カモメに飛ぶことを教えた猫
ルイス・セプルベダ 白水社・840円
“違っても”友達、家族 ここには愛と勇気がいっぱいです
港町に住む太った黒猫ゾルバの前に、突然、原油まみれになった一羽のカモメが落ちてきます。瀕死(ひんし)のカモメは最後の力で卵を産み、ゾルバに約束を請います。「決して卵を食べないで、卵をかえして育て、飛ぶことを教えてやって」と。
突然カモメの母親になったゾルバが、港の仲間の猫たちと一丸となって生まれてきたカモメを一人前に育て上げようと奮闘する。異なる者同士の愛を見せられ、感動嫌いの僕も感動してしまいました。「すらりとしたカモメと、太った黒い猫は、ともに歩き始めた。猫はカモメの頭を優しくなめ続けながら。カモメは一方の翼を猫の腰にまわして」という一文がとても好き。
【紹介者】
月と六ペンス 柴垣希好さん
月と六ペンス 柴垣希好さん
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