坂東玉三郎特別公演
南座にて6月24日(日)まで公演中
芝居、舞い、琴、三味線、胡弓と、玉三郎の美学、たっぷり!
歌舞伎は敷居が高いと思われがちだが、肩の力を抜いて出かけてみると、実はとても分かりやすく面白く、何よりも目の悦楽に酔えるところが魅力である。
6月の「坂東玉三郎特別公演」は、第1部が片岡愛之助との共演による「壇ノ浦兜軍記」から「阿古屋」。
源頼朝を狙う悪七兵衛景清をかくまった疑いで、傾城(※)の阿古屋(玉三郎)が捕えられる。知らないと言い張る阿古屋を、岩永左衛門(薪車)は拷問に掛けようとするが、秩父庄司重忠(愛之助)は、阿古屋に琴・三味線・胡弓を演奏させ、その乱れようのない音色に重忠は─。
第二部は江戸吉原を舞台に、花魁道中をはじめ、四季折々の廓の風情や恋模様が、美貌の傾城(玉三郎)によって描かれていく長唄舞踊。
どちらも、美の化身のような玉三郎の魅力があふれ出る演目だが、中でも「阿古屋」は、琴、三味線、胡弓の素養を必要とされる難役。玉三郎自身が奏でる音色に浸るぜいたくさを堪能できる。
また、ロビーでは、「玉三郎“美”の世界展」が開催されていて、華麗な舞台写真や衣装、小道具、趣味の陶芸や絵画、そして旅先やプライベートの写真などが豪華に展示されている。こちらも見応え十分!
※けいせい=遊女のこと
(ライター あさかよしこ )