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試写室・劇場から

私が、生きる肌

6月2日(土)からTOHOシネマズ二条で公開

Photo by José Haro ©El Deseo

倒錯した愛の色をにじませ、破天荒な復讐劇が展開する

新作が来れば、ぜひ見たいと思う映画監督の一人が、スペインのペドロ・アルモドバルだ。その作風といえば、和食のしょうゆ味とは対極にあるような、にんにくをたっぷり入れたオリーブオイルソース味を連想してしまうのだが、本作の衝撃度もかなり高め。途中から明かされる秘密に思わずのけぞり、スクリーンを見つめるテンションがぐいぐい上がった。

最新技術を駆使した人工皮膚の研究者でもある著名な形成外科医ロベルは、自分の屋敷に美しい女性ベラを幽閉している。彼女は素肌の上にボディーストッキングのようなものを身につけていて、外部から完全管理されている。さて、いったい彼女は何者なのか。それは、ロベルの家族に起こった悲しい出来事に端を発していたのだが…。

話が6年前に切り替わってから、次第にゾクゾク度が増していく。ベラの正体がわかった時、人間は思い詰めるとどんなことでもやってしまうのか、という思いに打たれるとともに、なぜか滑稽(こっけい)さも感じさせる。悲劇と喜劇は、コインの裏表みたいだなと思うのだ。

しばらく見ない間に年輪を刻んだアントニオ・バンデラスに、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデスほか出演。アルモドバル監督らしい色彩感覚の映像も魅力的。

(ライター 宮田彩未 

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