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試写室・劇場から

裏切りのサーカス

4月28日(土)からTOHOシネマズ二条で公開

Jack English©2010 StudioCanal SA

観客に挑戦状を突きつける
知的で複雑なスパイ暗躍図

題名の“サーカス”とは、曲芸などが出てくるあれではなく、英国諜(ちょう)報部のこと。原作は、自身、スパイの経歴を持つ作家ジョン・ル・カレが実際に起きた事件をもとに書いた『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』だが、007のような派手なアクションは期待しないで。それよりも、からまり合った人物模様や、じわじわとあぶり出される真相への過程を楽しみたい。実にスリリングで、脳細胞を活性化させてくれるような秀作だ。

東西冷戦下にある70年代前半、サーカスのリーダーであるコントロール(ジョン・ハート)は、5人の幹部の中にソ連の二重スパイ“もぐら”がいるという情報をつかむ。その情報源と接触しようとした作戦が失敗し、彼と彼の右腕であるスマイリー(ゲイリー・オールドマン)は解雇されてしまう。が、引退したスマイリーに、もぐらを探し出せという至上命令が下され・・・。

本年度アカデミー賞で、主演男優賞にノミネートされたオールドマンの緻密な演技にうなる。ひたすら自身の影を消しているような寡黙な男を演じてみごと! コリン・ファースほか個性豊かな共演陣や、『ぼくのエリ 200歳の少女』のトーマス・アルフレッドソン監督による、雰囲気ある映像にもワクワクする。

(ライター 宮田彩未 

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