ドライヴ
3月31日(土)からT・ジョイ京都で公開
ワクワクドキドキを凝縮した
ちょっと風変わりな犯罪映画
私的には、この春一番の収穫とも言える魅力的な作品。冒頭からドライアイになりそうなほど目が開きっぱなし、ラストまで腕の良いドライバーが操る車の助手席に座らされたかのよう。でも、いわゆるカーアクション映画ではない。なぞめいた主人公が映す影とロマンス、社会の裏で繰り広げられる犯罪の駆け引きなどを、スタイリッシュな映像で切り取った、斬新なドラマだ。
クレジットには名前でなく、“ドライバー”とだけ記されている主人公は、天才的な運転技術の持ち主。昼は映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を助けるというアブナイ仕事を引き受けている。非常に口数が少なく、あまり人とつきあわない彼だが、同じアパートの女性に恋をしたことがきっかけで、命がけの事態を招いてしまう…。
一見、孤独な好青年なのに、度を越えた暴力性が姿を現す時、彼はいったい何者なのか、と思う。ぶらりとやって来て、ヒロインを悪者の手から奪還した後、どこかへと去っていく、あの西部劇のヒーローみたい。注目株のライアン・ゴズリングにキャリー・マリガンという組み合わせがいい。デンマーク出身の監督ニコラス・ウィンディング・レフンの優れた映像センスに浸ってほしい。15歳未満は観覧できないR15+指定。
(ライター 宮田彩未 )