ホーム > > インタビュー

インタビュー

「鍾馗さんを探せ!!」著者 小沢正樹さん

京都には推定3000体以上の鍾馗さんがあるそう。「もし私が民家にカメラを向けていても不審に思わないでくださいね」と小沢さん。西陣の岩神ホール(渡文株式会社)の鍾馗さんとともに(撮影:橋本正樹)

家の小さな守り神「鍾馗さん」
それを通して見た京都の顔とは

京都の家の屋根の上に、小さな瓦製の像がまつられているのをよく見かけませんか。この「鍾馗(しょうき)さん」についての本を著したのが、小沢正樹さんです。



小沢さんの著書「鍾馗さんを探せ!!」(淡交社刊)には、さまざまな表情やポーズのユーモラスな鍾馗さんがいっぱい! 京都市内を中心に、約190体の写真と所在地が地図入りで紹介してあります。

「鍾馗さんを屋根に上げる風習は関西を中心に各地で見られますが、日本で一番多いのが京都なんですよ」。そう語る小沢さんは、愛知県在住。毎週のように関西へ通い詰めて鍾馗さんを探しているのだとか。

「もともと古い街の写真を撮るのが趣味だったのですが、6年前のある日、産寧坂近くで鍾馗さんを発見。その日、鍾馗さんばかりを撮影したら、80枚以上にもなって」

そこから始まった鍾馗さん探し。その楽しさは、「子どもが昆虫採集に夢中になる気持ちのよう」と笑います。「自宅で地図を手に、“この辺が多そうだな”とヤマを張って、それが当たったときの面白さったら…」

京都の人に鍾馗さんを
守ってほしい


現在、約9800体の鍾馗さんを撮影し記録している小沢さん。「でも、もう存在しないものも多いんですよ」と悲しそう。

「鍾馗さんは芸術品として扱われていないので、貴重な手作りのものでも、家とともに簡単に壊されてしまうのです。家の人が代替わりしたからか、存在が忘れられて傾いているものや、エアコンの室外機の裏で窮屈そうにしているものも。

だから京都の人には、“鍾馗さんを大事にしてください”とお願いしたい。私の今回の本が、鍾馗さんとその風習の貴重さを理解してもらえるきっかけとなればうれしいです」

(文・橋本美代 

このページのトップへ