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試写室・劇場から

SHAMEーシェイムー

3月10日(土)からMOVIX京都で公開

©2011 New Amsterdam Film Limited,
Channel Four Television Corporation and The British Film Institute

大都会のなかの孤独と孤独
セックス依存症と恋愛依存症

ニューヨークの小粋なマンションに住み、有能なビジネスマンで、ハンサムと言ってもいい独身青年ブランドン。とても恵まれた状況にあるようだが、彼には他人に知られたくない秘密がある。それは、セックス依存症。ゆきずりの関係を持ち、暇を見つけてはアダルトサイトを楽しむ。その彼のもとへ、妹のシシーが転がり込んでくる。彼女には異なる依存症があった…愛だ。

大胆で衝撃的なシーンも多いが、この映画の底を流れている悲しげな一本の川に引かれる。それは、時に激しく岩にぶつかり、時によどみ、遥かなる海にあこがれつつさまよい、見る者の心を引っかき回す。ブランドンを演じるマイケル・ファスベンダーの瞳のなんと寂しげなことか。肉体よりも心の不能、自ら積み上げて高くした他者との壁。現代社会の表に出てこない影の部分だ。シシー役のキャリー・マリガンがしっとりと『ニューヨーク・ニューヨーク』を歌い、ブランドンが涙する場面で、兄妹の姿が重なっていく。

監督は、往年の名優と同姓同名のスティーヴ・マックイーン。彫刻家や写真家としても活躍する彼の感性は、冒頭からすでに現れ、スタイリッシュな映像の切り取り方で、アート好きにアピールする。18歳未満は観覧禁止のR18+指定。

(ライター 宮田彩未 

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