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試写室・劇場から

女たちの忠臣蔵

2月24日(金)まで、大阪新歌舞伎座で公演中

さすがの女優陣!
忠義の陰に生きる、痛みと潔さを好演

男たちのドラマ、それも悲劇へ向かう“忠義の男たち”のドラマには、日本人の血を騒がせる美学がある。ところが、そんな忠義の男たちにも、母が、妻が、娘が、姉妹が、いとしい人がいる。その女たちの立場に視点を置くと、物語が全く違った色に見えてくる。

時は元禄十五年十二月。前年、江戸城内でおきた浅野内匠頭と吉良上野介との刃傷沙汰によりお家断絶となった赤穂浪士が、ついに主君の仇(かたき)である吉良邸への討ち入りを決意。討ち入りの日を前に、大石内蔵助(西郷輝彦)の妻・りく(高島礼子)、内匠頭の未亡人・瑤泉院阿くり(高橋惠子)、若き浪士を慕う大工の娘・しの(藤田朋子)、弟に白装束を渡す盲目のつね(一路真輝)、夫のために遊女に身を落としたりえ(熊谷真美)、深川の料亭の女将(中田喜子)などの女たちは、血を吐くような思いで、いとしい人たちとの最後の時を過ごす。しかし、女たちの本当の痛みは、男たちが本懐を遂げた時から始まるのである。

忠義のために死ぬ、いわば男たちの自己満足よりも、耐えて生きる女たちの何という潔さ。それを演じる女優陣の見事さに圧倒される。泣きのツボ(褒め言葉です)を知り尽くした舞台づくりに、まんまとハマる心地よさも、この舞台の大きな魅力。

(ライター あさかよしこ 

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