人生はビギナーズ
2月18日(土)から京都シネマで公開
自分らしく生き始めるのは、
幾つからでも遅くない
ある日、自分の家族が「私はゲイだ」とカミングアウトして、今までと全く異なる生き方を選んだとしたら? 本作は、監督・脚本のマイク・ミルズに起きたプライベートな実話を映画化したもの。個性、個性というけれど、おおむね世の中のモノサシにしばられているのが人間。その価値観をひっくり返し、心にぽっとあかりをともしてくれるドラマだ。
オリヴァーは、仕事と犬だけが友達という引っ込み思案のアートディレクター。母親が亡くなった後、がんを宣告された老齢の父親が、いきなり同性愛者だと告白したので、びっくり! 服装が若々しくなり、パーティーやエクササイズに熱中し、恋人もできて新しい人生を歩み始めた父の姿に、息子としてオリヴァーの思いは複雑…。
父親役のクリストファー・プラマーが断然イイ! 老いや病気と共存可能な軽やかな人生術を示してくれる。その演技を受けるユアン・マクレガー、美しいフランスの女優メラニー・ロランも繊細さがきわだつ。また、飼い犬のつぶやきが、物語にユーモラスなスパイスを加えている。
人の生き方は多様で、傷つきたくないから、殻に閉じこもっている人もいる。でも、自分に与えている抑圧を少しゆるめれば、世界が違ってくるかもしれないのだ。
(ライター 宮田彩未 )