最後の冒険家
石川直樹 集英社文庫・580円
かつてのパートナーである著者が
熱気球に情熱をかけた男を語る
僕が少し気落ちしていた20代のころ、石川さんの著書は必携書だった。
彼は若くして世界七大陸の最高峰に登頂し、北極から南極を人力のみで縦断するような人。そのことを記した著書にいつも僕は気持ちをリードしてもらっていた。そんな石川さんの著書を久しぶりに読んでみた。
2008年、太平洋上空で熱気球に乗ったまま消息を絶った冒険家・神田道夫。手製の気球を使用し、メカに弱くコンピューターを使わない彼の軌跡を、かつてパートナーとして気球に同乗、生死を共にした著者が精緻に記した一冊。経験からくる冷静で誇張のない文体が殊のほか読み手を引き込む、著者ならではのルポルタージュである。
【紹介者】
月と六ペンス 柴垣希好さん
月と六ペンス 柴垣希好さん
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