不完全なレンズで 回想と肖像
ロベール・ドアノー 月曜社・2310円
パリを愛した写真家が、レンズを通さず伝えたことは
“パリの写真家”ロベール・ドアノー。有名な「市役所前のキス」をはじめ、ピカソ、藤田嗣治ら芸術家や音楽家、作家のポートレイトなどは、多く知られていますが、ドアノーが特に愛した、パリの街角の、裏通りの、郊外の、各時代の人々の写真は、独特の力強さと優しさ、ユーモアを持って、不思議な安らぎを与えてくれます。 自伝的な本書では、彼の写真と同じく、時にカフェでの立ち話のような親しさやウイットを持って自身や、出会った多くの人々について語られています。訳者の作家・堀江敏幸氏が言うところの「瞬間的に切りとられた幸福」である写真を撮り続けたドアノーの素顔に近づける一冊です。
【紹介者】
古書ダンデライオン 中村明裕さん
古書ダンデライオン 中村明裕さん
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