長引く不況の時代、家計をやりくりする悩みは、つきることがありません。診断依頼をはじめ、今年編集部に寄せられた質問の中から、特に多かった「食費」「小遣い」「貯蓄」について、3人の担当者に解説してもらいました。
Q.食費の適正額って、どれくらい?
食費のやりくりは週単位の予算立てで
八束和音さん
手取り収入に対する食費の目安は15~20%です。まずは、わが家の食費が、この範囲にあるかどうかをチェックしてみましょう。超えているならカットを心がけて。
やりくりのコツは週単位の予算を立てることです。週単位で細かく予算を考えることで、目標が達成しやすくなりますよ。総務省2010年「家計調査年報」によると、総世帯の食費の平均額は月5万8635円。同調査によると、エンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)は、年代とともに高くなる傾向があります。30~39歳は22・1%ですが、60~69歳では24・3%に。30代の世帯では教育費などの準備もあるため、子どもの成長に必要な栄養バランスを取りつつも食費の割合は抑えめに。60代の世帯は、状況に応じて食べ物にもお金をかけ生活にメリハリをつける、といった形が理想といえそう。
都道府県別のデータをみると、京都は全国平均と比較して食費の割合が高い傾向にあります。やりくりと同時に、豊かな「食」に恵まれた京都を楽しむ、という意識も大切にしたいですね。
Q.妻の小遣いは金額を決めるべき?
金額を決めれば、使いすぎ防止に
薮内美樹さん
妻の小遣いは雑費に紛れ込ませがち。でも、予算は決めた方が◎です!
世帯収入によって異なりますが、一般的な子育て世帯の専業主婦で5000~1万円程度。自分のことは後回しで、小遣いゼロの方も少なくありません。「これだけは、自分のために使う!」という枠を決めておけば、計画的に使いやすく、使い過ぎ防止になります。友達とのランチや習い事などで、リフレッシュ効果も期待できます。
収入のある主婦の場合は、自分の手取り収入の10%程度が適正と考えられます。15万円の手取り月収なら1万5000円。これは、夫の小遣いと同じ割合です。
また、美容代や被服費なども、小遣いに含めておきたい項目。小遣いに含めていないという場合は、それぞれ1カ月分に換算するとどれくらい使っているのか、一度確認してみましょう。すべてを含めても、夫の小遣いに対して、専業主婦なら半分程度、働く主婦なら超えないように工夫を。年に1度のご褒美として、ボーナスから工面するのも良いでしょう。
Q.貯蓄は最低限どれくらい必要?
会社員で手取り半年分、自営で1年分が目安
山副耕一さん
貯蓄の考え方は2通りあります。ひとつは、5年程度の不測の支出、収入減少に備えるもの。金額は、子育て世代の場合、比較的収入の安定している会社員は手取り収入の半年分、自営業なら1年分が目安。運用は元本保証が一番で、金利は二の次です。
もうひとつは、教育費や老後資金などのための貯蓄。教育費は、子どもの進路によって目標金額が大きく変わります。小中高大すべて公立で820万円、全私立で2000万円(文科省調査などから算出、下宿費など含まず)を参考に。また、その運用には選択肢が生じます。預貯金に加え、こども保険やリスクの分散投資も可。長期にわたる預け入れ期間を有効に活用するためにも、早めの計画が肝心です。
老後資金は、生活費などに使うお金、万一の入院などに備えるお金、子どもに残すお金の順番で計算してみましょう。20年間、年金を受給しても毎月5万円不足すると仮定し、入院などに備えるお金を加えると2000万円。さらに、残すお金を入れて3000万円が目標となります。
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