仏果を得ず
三浦しをん 双葉社・630円
文楽か恋か“健太夫”が最後に選ぶのは?
文楽に魅せられ、芸の道を極めんとする主人公・健(たける)。その道に入って10年、これからというときに恋にハマり、芸に身が入らなくなってしまいます。それでも一歩ずつ階段を上っていこうとする健。そのほほえましい姿とは対照的に、演目を語っている描写では健の語りが本当に聞こえてくるようなすさまじさと迫力で、文楽の世界に引き込まれてしまいます。
実力はあるけれど無口で変人の兎一郎、女の子が大好きな銀太夫師匠など個性的な登場人物がさらに面白さを増してくれています。文楽と恋に揺れる健のちょっと遅い青春物語の行方は⁉
同著者の「あやつられ文楽鑑賞」も一緒に。
【紹介者】
大垣書店四条店 池田真里さん
大垣書店四条店 池田真里さん
()