リメンバー・ミー
10月29日(土)から京都シネマで公開
悩み、反抗し、そして愛し…
生の証しが誰かの胸をたたく時
少女時代に目の前で母親を殺害されたアリー(エミリー・デ・レイヴィン)と、兄の自殺のショックから立ち直れず、弁護士の父には反抗心をあらわにする青年タイラー(ロバート・パティンソン)。それぞれに悲しみや怒りを抱き続けてきたが、ふたりは出会うべくして出会い、これこそ、本当の愛だと感じる。だが、運命の出会いは、運命の日へと彼らを運んでいくプロローグだった…。
ニューヨークの街を舞台にした青春ものであり、また家族のお話でもある。人生に意味を見いだせない21歳のタイラーのかっとうは、若さゆえのものだが、アリーの存在が彼を少しずつ温めていく。欠落したものを持ち合うということは、共に人生を送っていくための大きな力となることがあるのだ。しかし、物語はさらに大きな欠落を、思いもよらない形で用意する。見終わってすぐに席を立てなかった。大切な人の記憶を胸に、それでも生き続けていくということ。これは悲しみを描いた映画かもしれない。だが、人は悲しみの中から希望を探そうとする生き物でもあるのだ。
意外な役どころのピアース・ブロスナンのほか、レナ・オリン、クリス・クーパーというベテラン勢の配役は実にぜいたく! 監督は、アレン・コールター。
(ライター 宮田彩未 )