喜劇・女房は幽霊(ゴースト) 笑いと涙の百日間
9月25日(日)まで。京都南座にて公演中
この美男美女が漫才コンビに?二人に起こった奇跡とは…
何年か前に大ヒットした『千の風になって』という歌。「私はいつも、あなたのそばにいて見守っています」という死者からの語りかけは、新鮮な癒やしであり、“目からウロコ”の死生観でもあった。この舞台もまた、そんな愛おしい幽霊(ゴースト)の物語。
寺川浩(山下真司)と桜(名取裕子)は人気絶頂の夫婦漫才コンビ。ところがある日、桜が事故で命を失ってしまう。死んだ自覚が無いまま幽霊となった桜は、あの世から迎えに来た漫才の師匠・寺川捨吉(青空球児)に、「相方を失った浩が、芸人として道筋が立つまで見守りたい」と願い出て、百日だけの猶予をもらう。しかし、不器用な浩は、次々と不運におそわれる。そんなところに、浩に気がある歌手の中津川久美(愛華みれ)が、浩に相手役の話を持ちかける。浩は最後のチャンスと引き受けるが、桜は心穏やかではいられない。いよいよ舞台の初日。そしてその日は、桜にとっての百日目でもあった。
名取裕子は“あでやか”で、大らかな充実感のある女優である。その彼女の、堂々たるハジケっぷりが実に見事で心地良く、また、桜の幽霊の存在が、ついに浩の心に届くシーンにポカッと胸が熱くなる。母・楓(星由里子)のインチキ霊能師(?)ぶりもカワイイ!
(ライター あさかよしこ )