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インタビュー

美術作家 瓜生祐子さん

京都出身の瓜生さんにとって京都は「懐かしい街」だそう。
「plate journey:瓜生祐子展」は8月7日(日)まで(月休)、
ギャラリー・パルク(三条御幸町角 三条ありもとビル2階)。
「sweet memory─おとぎ話の王子でも」は9月11日(日)まで、
京都芸術センター(室町通蛸薬師下ル)。撮影/竹中稔彦

「お皿の上も一つの世界」身近な食べ物にも違う視点が

一見、淡い色彩の風景画。でもよく目を凝らすと、食べ物!? そんな絵画を描く瓜生祐子さん。今、京都の2つのギャラリーで、彼女の作品が見られます。



クリームの雪山、スポンジケーキの岩肌、スプーンで削られたアイスの山脈…。そんなファンタジックな風景が、夢の中のようにはかない色彩で表現されています。

「もともと抽象画を描いていたのですが、ある時カレーを食べていたら、ご飯が山に、ルーが海に見えて。食べ進むに従ってそれが形を変え、美しい姿になったりしつつも、最後はなくなってしまう。キャンバスと同じく、お皿の上も一つの世界だと感じたのです」

作品に近づくと布目が見えるのは「木製パネルの上にアクリル絵の具で色を塗り、それを薄い布で覆った後、鉛筆で線を描き起こしているのです」。この独自の技法により、色彩の淡さに加えて立体作品のような奥行きも生まれています。

食卓での楽しい思い出が詰まった作品

家族や友人とケーキなどを食べるとき、さまざまな角度でそれを写真に収めておくという瓜生さん。「作品を見た友人に『これはあのときのだね』と言われたりも。私自身も、食べたときの楽しい記憶がよみがえります」

そんな彼女の作品に、鑑賞者の郷愁も喚起されるよう。「『子どものころ、かき氷を山だと思いながら食べていたのを、作品を見て思い出した』と言ってくださった方がいて、とてもうれしかった」

とはいえ、人それぞれの感じ方で作品を見てもらえれば、とも。「私が見えていなかったものも、“この部分はこう見えるね”と教えてもらえると面白いので。食べ物は毎日接する身近なもの。作品を通して、そこに違う視点があることを発見してもらえたら」

(文・橋本美代 

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