キラー・インサイド・ミー
6月18日(土)から京都シネマで公開
男が仮面を引きはがした時、
日常は非日常の舞台となる
1950年代、アメリカのいなか町、29歳の保安官助手ルーは、柔らかな人当たりの好青年で通っていた。父親が遺した屋敷に住み、幼なじみの教師エイミーとは恋人同士の気ままな関係を結んでいる。大事件も起こらない平和な土地柄なので、銃を携帯することもない。日々は穏やかに過ぎていた。娼婦のジョイスと出会うまでは…。
兄のベン・アフレックと声もよく似ているケイシー・アフレックが、何とも複雑な主人公を演じ、ジェシカ・アルバとケイト・ハドソンが共演。誰にも愛されているルーの知られざる本性が明らかになるにつれ、恐怖感がどんどん増していく。ルーだけでなく、女性たちも最初とは違う面を見せ始め、人間とはホントにもうややこしい生き物だな、と思わざるをえなくなる。
原作はジム・トンプスン。『ゲッタウェイ』『グリフターズ』ほか、多くの作品が映像化されている犯罪小説の名手だ。監督は、新作が出るたびに期待感を抱くマイケル・ウィンターボトム。この映画でも、孤独やトラウマ、隠されたサディズム、平穏さへのいら立ちなどに揺れる、気持ちのひだの奥深さを描き出している。主人公の豹変(ひょうへん)ぶりと大胆不敵な笑顔に、きっとあなたも凍りつくだろう。
15歳未満観覧禁止のR 15 +指定。
(ライター 宮田彩未 )