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5月28日(土)からMOVIX京都で公開
あの熱っぽく激しい時代、カクメイはどこへ向かったか
先日、昔からの友人と語り合っていたら、青春がいとも簡単によみがえってきた。いつの時代でも、若者たちは迷い、悩みつつも、何かを変えられるんじゃないかと夢を見る。おとなになるとは、消えてしまった夢に無関心になることだろうか。あるいは、違う夢を見つけることだろうか。
1969年、新聞社で週刊誌の編集者として働く沢田は、政治活動家たちを追いかけながら、自分の理想と現実の間で揺れていた。そんな彼のもとに現れたのが、梅山と名乗る過激派の男。武器を奪取して近々行動を起こすと宣言する梅山に、沢田は引かれ始め…。
妻夫木聡と松山ケンイチという人気スターを迎え、『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督がメガホンを取った。当時の若者が愛読した宮沢賢治の本、流行した音楽や映画などが物語を彩り、団塊の世代がこれを見てどう感じるかと考える。ワタクシ的には、あこがれの時代だった。「連帯を求めて孤立を恐れず」というスローガンにも心がさわぐ。
淡い恋心を抱いた少女に「きちんと泣ける男の人が好き」と言われる沢田だが、それが巧妙にラストシーンとつながっていて、しみじみと切なくなった。シンガー・ソングライターのあがた森魚が顔を見せているのもちょっとうれしい。
(ライター 宮田彩未 )