歌舞伎ミュージアム at 南座
5月30日(月)まで京都南座にて公開中
猿之助歌舞伎の軌跡を、余すところなく披露
時には異端児、時には寵児と呼ばれ、常に「時代と共に生きる歌舞伎」をめざして走り続ける三代目・市川猿之助。彼の成果である『猿之助歌舞伎』の全容が、五月の南座で堪能できる。
劇場内に足を踏み入れて、まず驚かされるのは、1階から3階までの客席にズラリと飾られた、おびただしい数の豪華絢爛(けんらん)な舞台衣装の華やかさ。『ヤマトタケル』『カグヤ 新竹取物語』『新・三国志』『南総里見八犬伝』『オグリ』『義経千本桜より』などなど、実際に舞台で使用された衣装が、手の届く位置で鑑賞できる。
これだけでも十分に魅力的だが、さらに『映像でみる歌舞伎の魅力』では、猿之助の舞台映像のダイジェストをはじめ、吉例顔見世興行やまねき、花街総見という南座ならではの歴史ある催しを紹介。また、舞台上では、大道具の組み立てやバラシなども紹介され、普段見ることができない裏方さんの仕事ぶりに、胸がざわめくのもいい!「表現者であると同時に、創造者でありたい」という猿之助の熱意が伝わってくるのだ。
そして、ぜひお勧めしたいのが、実際に舞台で使用されたお茶席。「この畳の上には、仁左衛門や玉三郎も座ったのかしら」などと思いを巡らしながらいただく和菓子やお抹茶は、また格別。
(ライター あさかよしこ )