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試写室・劇場から

八日目の蟬(せみ)

4月29日(祝・金)からMOVIX京都で公開

©2011映画「八日目の蟬」製作委員会

切れてしまった人の縁が再び結び合わされる時

蟬は地上に出てから7日間しか生きられないといわれるが、では8日目まで生きた蟬は幸せなのかどうなのか。そんな思いをヒロインたちの人生に重ね合わせた角田光代の小説が、成島出監督により映画化された。

妻のある男を愛して子どもを宿すが、母親になることを許されなかった希和子は、男の妻が出産したばかりの赤ん坊を衝動的に誘拐してしまう。各地を転々としながら、希和子は愛情こめてその赤ん坊、恵理菜を育てるが、4年後に逮捕される。実の両親のもとへ戻され、大学生になった恵理菜のもとへ、ある日、ルポライターだと名乗る女性が現れ…。

衝撃的な物語である。4歳まで母だと信じていた人が自分を誘拐した女だった、それは恵理菜のトラウマとなる。実の父母との距離を遠ざけ、家庭を壊した希和子に対する憎悪は、過去を心の深層に沈めるという方向に作用する。だがルポライターとの旅が、忘れていた過去の扉を一つずつ開いていくのだ。

以前、問題になった宗教集団のような組織までかかわってくるのには驚くが、悲しくも熱いクライマックスシーンの情感には、じ~んとさせられる。井上真央、永作博美、小池栄子らが持ち味を見せて好演。ほかにも豪華俳優が勢ぞろいした、大きな人間ドラマだ。

(ライター 宮田彩未 

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