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試写室・劇場から

アメイジング・グレイス

4月9日(土)からT・ジョイ京都で公開

©2006 BRISTOL BAY PRODUCTIONS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

あの美しい名曲にまつわる
奴隷解放運動の熱き叫び

音楽や映画や演劇や文学…そういうものの力を今こそ実感している。人々が再び歩き出すために、心に光を呼び戻すために。本作は、多くの人の耳に親しい名曲がタイトルになっているが、普通に想像されるような音楽映画ではない。奴隷解放運動に身をささげた一人の男の半生を中心としたもの。その粘り強い戦いや苦悩が、ひたひたと身に寄り添ってくる。

奴隷貿易が当然のこととして行われていた18世紀のイギリス。裕福な家庭に育った青年ウィリアム・ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)は、聖職者になるか政治家になるか迷っていた。熱い心を持つウィリアムを動かしたのは、彼の師であり、『アメイジング・グレイス』を作詞したジョン・ニュートン。21歳で議員になったウィリアムは仲間とともに奴隷貿易廃止を訴えるが…。

人権よりも国益重視の当時にあって、ウィリアムの選んだ道はどんなに厳しいものであっただろうか。新しい思想は、いつの世でも、固定観念によってたたかれる。裏切り行為もあれば、自身の病もある。愛する妻の存在と、名曲に込められた大いなるものへの祈り。それが彼の支えとなり、力となっていく。

監督はマイケル・アプテッド。ロモーラ・ガライのほか、名優アルバート・フィニーも出演。

(ライター 宮田彩未 

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