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試写室・劇場から

ミュージカル「オペラ座の怪人」

7月3日(日)まで京都劇場で公演中

豪華な装置、怪しく甘美な調べで、19世紀パリのミステリーを堪能!

ガストン・ルルーの原作をミュージカル化したこの作品が、『劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい』というキャッチフレーズで8年ぶりに京都劇場に登場。パイプオルガンによるすさまじいまでのオーバチュア(序曲)とともに、巨大なシャンデリアが客席の頭上をかすめるように天井に掲げられると、そこはもう19世紀のパリ・オペラ座。全世界で1億人を超える観客を魅了し続けている不朽の名作である。

物語の主人公は、醜い顔を仮面で隠し、オペラ座の地下室に隠れすむ怪人と呼ばれる男。彼は美しい歌姫クリスティーヌを愛し、ひそかに彼女に歌のレッスンをつける。彼女もまた、怪人に尊敬にも似た感情を抱くのだが、彼女の恋の相手は若さと地位と美ぼうを兼ね備えた、幼なじみのラウル子爵だった。嫉妬(しっと)に狂った怪人が次々と起こす怪事件、そしてその無残な結末。この怪しく切ない恋のトライアングルを彩る、舞台美術や音楽、俳優たちの歌唱力は圧巻である。

特にマスカレード(仮面舞踏会)シーンの華やかさ、また怪人がクリスティーヌに激しく愛を求める『ザ・ポイント・オブ・ノーリターン』は、切なく美しくエロチックだ。胸をえぐるように悲しい「♪アイ ラヴ ユー」の余韻が心に残る、なんとも罪作りな舞台である。

(ライター あさかよしこ 

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