英国王のスピーチ
2月26日(土)からTOHOシネマズ二条で公開
言語障害に悩む国王と、彼を支えた人々の感動秘話
今年のアカデミー賞授賞式も間近だが、最多12部門でノミネートされているのがこの作品だ。当欄でも以前に紹介した『シングルマン』で主人公を演じたコリン・ファースが、ここでも実に印象深い演技を披露し、実力派のジェフリー・ラッシュやヘレナ・ボナム=カーターらが脇を固め、配役を見ただけでもワクワク! しかも、「あー、これを見て良かった!」と思わせる繊細かつ力強い映画である。
イギリス国王の次男ジョージ6世は、吃音(きつおん)のために、人前に出るのも公の場で語るのも大の苦手。妻のエリザベスは、スピーチ矯正(きょうせい)の専門家ライオネルのもとへジョージを連れていくが、あまりに型破りなレッスンは、ジョージには気に入らない。だが、兄の代わりに、彼が国王の座に就く日がやって来た…。
コンプレックスはジョージ6世を追いつめていくが、それでも、対等な関係で治療しようとするライオネルに反発するなど、高位にある者ならではの傲慢(ごうまん)さもちらり。だが、王位よりシンプソン夫人との未来を選んだ兄エドワード8世の有名なゴシップが、皮肉にもジョージに再生の道を開く。ナチスとの開戦前、国民に訴えかける長回しの演説シーンには胸がときめく! トム・フーパー監督。
(ライター 宮田彩未 )