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インタビュー

華道家 假屋崎省吾さん

「春の枝もの、流木、着色したもの、さまざまな花を使って
百花繚乱(りょうらん)の世界を表現したいと思っています」
(假屋崎省吾デザインの着物と共に) 撮影/畑中勝如

「歴史的空間で美のオーラにたっぷりと包まれてほしい」

3月10日(木)~19日(土)、昨年に引き続き京都・長楽館で展覧会を開催する、華道家・假屋崎省吾さん。今回は、昨年12月にパリで開催された展覧会の“凱旋記念”ということで、また新たな花の世界を見せてくれそうです。



初めてづくしのプチパレ宮殿

パリでの展覧会の会場となった、プチパレ宮殿は、1900年にフランスで万博が開かれたときに造られた、約110年も前からある建物。京都での会場となる長楽館も昨年100周年を迎えています。そんな歴史ある会場を、あえて舞台に選び展覧会を開く、假屋崎さん。

「両方に共通するのは、歴史、そして本物であるということ。それぞれ、建物を守っている方々や、そこで何かをしようという人には、それは重圧はあると思うんですけれど、私の場合は『ようしやってやろう!』という意気込みのほうが強い。

プチパレ宮殿は、現在は、パリ市の美術館です。故人の芸術家の個展が開催されるところですが、生きている人の個展は、私が初めてです。日本人としても初めて、生の花を展示するのも初めてという、初めてづくしだったんです」


日本の文化を伝えたかった

会場には、假屋崎さんがデザインした着物も展示されました。

「京都で制作をした振り袖や訪問着などを展示させていただきました。作品としては、竹を使ったり、真っ赤な角材を使ったり、和のテイストでありながら、現代的な植物によるインスタレーションに、日本人はもちろん、パリの方々もみなさん驚きと感動で見てくださって、たくさんのお褒めの言葉をいただきました。

私の作品を通して、日本というものの文化の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えることをできたことがうれしくて。私にとっても、歴史的なことです」


古いものが溶けこむ京都が大好き

パリ、そして京都。二つの歴史ある都に寄せる思いは─。
「建物自体はまるで違いますが、本物をいまもかわらず大切にしている、花をめでるという気持ちがふつうに存在している。そんな人々の日常が、パリにも京都にも共通していることだと思います」

ふだんから京都が大好きで、時間をみつけては来ているそう。
「京都は、古いものが自然に生活の中に溶け込んでいて、でも生活するうえでは、すごく新しいものを取り入れている。そういうところが、京都のおもしろさだと思います」
そんな京都で開く展覧会では、「たっぷりと美のオーラに包まれていただきたい」。

昨年、会が終了してから「『知ってたら絶対行ったのに、残念』という声が、後から後から絶たなかったんです。今回来ないと大損すると思いますよ」。
その見どころは、「春の花材をたっぷり使います。一足早い春の息吹を感じてほしい」。
そして、「歴史的空間と花々が融合した、その空間そのものを体感して、美のオーラを感じていただきたいです」。

(文・山舗恵子 

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