家計が苦しいときこそ、どうためるか、どう増やすか…、腕の見せどころ! 来年も引き続き、お金の運営術を磨いていきたいですね。そこで今年最後の「かけいぼ診断」では、異なるタイプの家計運営や、気になる投資運用について、3人の担当者にアドバイスしてもらいました。
● 子育てファミリーの家計運営術
“ため時”を逃さずに!
八束和音さん
2011年は、景気が緩やかに回復するという見方もあるものの、個人所得が急激に増える見込みは低く、家計の厳しい状況は続きそう。収入が伸び悩む中で、子育て世代の家計運営のポイントは、少しずつでもお金を積み立てること。教育費の準備は、この世代にとっての最重要課題です。
貯蓄の余力がないご家庭も多いのですが、毎月支給される「こども手当」だけでも確実にためたいですね。例えば1カ月1万3千円を12カ月、5年間貯蓄できれば、元本だけで78万円に。これは、国立大学の入学金を含む初年度納入金や、私立大学の1年間の学費にほぼ匹敵します。この蓄えがあると気持ちのゆとりも大きく違ってくるので、ぜひ頑張ってください。
一般的に教育費をためやすいのは、子どもが小学校3~4年生までの間といわれています。小さいうちは学費があまりかからず、習い事などにお金をかけてしまいがちですが、本当に意味のあるものか考え絞り込むことも重要。小学校高学年になると塾代などの支出がかさみ、余力がなくなることが予想されるので、この「ため時」を逃さないよう注意してください。
● 熟年夫婦家庭の家計運営術
定年退職までの貯蓄を強化
薮内美樹さん
来年も世界経済は不透明。こんなときこそ、子どもが独立した熟年夫婦2人の家計は、老後を見据えた運営に取りかかることが大切。子どもの独立後から定年退職までは貯蓄のチャンスととらえ、家計を見直しましょう。
まず、退職時期や貯蓄計画を立てるうえで必要不可欠な、公的年金の見込額や受け取り開始年齢について確認を。また、公的年金でどれくらい生活費が補えるかを知るために、夫婦2人の基本生活費を把握して。子どもにかかっていた食費や光熱費のほか、住宅ローン完済を考慮すると、意外に基本生活費は低くおさえられることも。老後の不安解消につながるかもしれません。
年間の貯蓄目標については、手取り収入の10~20%超が目安です。子どもの独立後は保険の見直しにも好適期なので、死亡保障から医療保障に重点をおき、不要となった保障はカットしましょう。退職後も住宅ローンが残りそうな場合は繰り上げ返済計画を立てるなどして、極力、退職金には手を付けないようなプランニングを心がけてください。
● マネーの投資と運用術
市場パワーの回復に注目を
山副耕一さん
「預貯金の金利があまりにも低いので、株式投資や投資信託にもチャレンジしたい。でもよく分からなくて…」との声をよく聞きます。
そこで、株式投資において難しいとされる株価の決定についてアドバイス。株価は「個別企業の業績」と「市場全体のパワー」の2つの要素の掛け算で決まると考えれば少し簡単です。まず、投資先企業の業績については、インターネットや「会社四季報」(東洋経済新報社)などで利益の移り変わりを確認する作業を大切にしましょう。
個人的には、いま市場全体のパワーが強まってきていると感じています。理由は、日米両国の金融緩和政策。リーマンショック後も金融緩和が行われていましたが、10月以降、第2段階に突入し、アメリカでは50兆円もの資金が使われるそう。例えれば“強力な滋養強壮剤を10本飲んだときくらいのパワー”が市場にみなぎる、と考えています。このような背景から、新年は「先進国株式」「金(ゴールド)」など、リスク性商品への投資も選択肢に入れてもよいのではないでしょうか。
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