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インタビュー

映画監督 東陽一さん

12月18日(土)午後1時、4時には、京都造形芸術大学(叡電「茶山」駅より徒歩10分)で、東さんの指導した学生が撮ったショートフィルム「女子」「男子」を上映。東さんが撮影したスチール写真で構成されるメイキングオブも同時上映されますよ ※全60分、入場無料(撮影:深村英司)

人間のことを考えていたら 家族の映画に行き着いた

12月18日(土)より京都シネマで公開の「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」。監督で、京都造形芸術大学客員教授も務める東(ひがし)陽一さんに話を聞きました。



俳優の浅野忠信さんと永作博美さんを主演に迎えたこの映画では、アルコール依存症の男と、彼を受け止める元妻や子どもたちの姿がユーモアを交えながら描かれます。

「病気をテーマにした映画というと、深刻で悲しいものを想像しませんか? だけど、実際の人生では、病気にかかっていても、悲しい・苦しい気持ちばかりが続くわけじゃない。ご飯のおいしさや、子どもへのいとしさが、かえって強い喜びとして感じられることもあると思うんです」

男の入院先に元妻と子が会いに行くシーンや家族が海へ行くシーン。情景の一つ一つがまぶしく、幸福感がすっと伝わるのは、こんな思いが込められていたからかも。

ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した「絵の中のぼくの村」(1996年)以来、家族の姿を描き続けてきた東さん。

「家族ものが続いたのは偶然(笑)。いつも人間のことを考えていたら、おのずとこのテーマになったという感じです」

わかりにくいものを楽しむ感性を持て

京都造形芸術大学映画学科で教べんをとる東さんは、学生の映画制作を指導しています。

「学生には、映画でも文学でも、たくさんの作品に触れ、“わかりにくいもの”を楽しむ感性を身につけてほしい。やわらかいものばかり見ていたら、人生の本当の怖さがわからなくなるから」

“泣ける映画”“笑える映画”など、特徴を一言で言い表せる作品が歓迎される中、悲しいのにおかしみがあって希望もある、複雑な味わいの本作を生んだ監督らしいこの一言。ぐっときました。

(文・佐竹香苗 

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