「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」
11月5日(金)からTOHOシネマズ二条で公開
二人の“母”の間で揺れた 10代のジョン・レノン物語
青春とは、人生の光と影が凝縮された時代なのかもしれない。最も多感な時期に、どんなことに悩み、何を願ったか。誰と出会い、誰と別れたか。ザ・ビートルズのメンバーであり、数々の名曲で有名なジョン・レノンの十代を描いた本作を見ながら、そんなことを考えていた。
ジョンは伯父と伯母のもとで暮らしている。伯母のミミは厳しく、ちょっとけむったい存在、でも伯父のジョージとは友達みたいな間柄だ。だが、突然、ジョージが亡くなり、衝撃を受けているジョンに重大な事実が知らされる。実の母ジュリアが近くに暮らしているというのだ…。
これが初監督というサム・テイラー=ウッド(サムという名だが、女性)の手により、若き日のレノンが何を求め、何にいら立っていたのかが繊細に伝わってくる。学校でも地域でも問題児だったが、彼はまっすぐだった。自分をひたと見つめてくれる愛を探し、それがジュリアに向けられ、やがてミミの中に見いだすクライマックスにはじんとくる。ポール・マッカートニーと出会う場面も印象的だ。本人より美形?のアーロン・ジョンソンがレノン役で、アンヌ=マリー・ダフとクリスティン・スコット・トーマスが対照的な“二人の母”を好演している。
(ライター 宮田彩未 )