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試写室・劇場から

ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡

10月30日(土)から京都シネマで公開

底辺から希望を呼びかける、路上で育くまれた音楽の熱さ!

9月末に大阪で開催された「ベンダ・ビリリ」のライブは、会場を興奮の頂点に導くものだった。幼少期にポリオを患った車いすに乗った4人、松葉づえをついた1人を含むこのバンドがなぜスゴイのかは、この映画が如実に語ってくれる。

コンゴ民主共和国(旧ザイール)の首都キンシャサの路上で、2人のフランス人映像作家が彼らと出会った。戦争の混乱と貧困が人々を襲い、首都だけでも数万人のストリートチルドレンがいる環境下、障がいがあり、家がなく動物園で眠りながら音楽活動を続けている彼ら。だが、その音楽に引き込まれた2人は、「ベンダ・ビリリ」のCD制作に尽力するとともに、ドキュメンタリー映画を作り始める。

シンプルだが、ハンディをはね返し、突き抜けた明るさを発する音楽に底力を感じた。空き缶に1本のギター弦だけの楽器を操る天才少年と、バンドリーダー格・リッキーとの親子のような関係にも心がなごむ。ベンダ・ビリリとは、外側をはぎ取れ(=内面を見よ)という意味。また、映画の副題は、74年に全盛を過ぎたモハメド・アリがキンシャサで世界ヘビー級タイトルを奪還し、奇跡と呼ばれたことにちなむ。まるで強力サプリみたいな映画だ。ルノー・バレ&フローラン・ドラテュライ監督。

(ライター 宮田彩未 

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