ぼくのエリ 200歳の少女
10月9日(土)から京都シネマで公開
少年の初恋のお相手は、何とヴァンパイアだった!
スウェーデンのストックホルム郊外、12歳の少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)は、毎日のように学校でいじめられているが、女手一つで彼を育てている母親はそんなことにも気づかない。ある夜、一人ぼっちの彼の前に黒髪の少女が現れた。その少女エリ(リーナ・レアンデション)は隣に引っ越してきたばかりだが、どこかほかの少女とは違っていて…。
白銀の町にたびたび起こる不可思議な殺人事件。雪の色と血の赤い色のコントラストが人々の恐怖や不安感をあおっていく一方で、オスカーとエリはぎこちない恋をはぐくんでいく。壁越しに、2人がモールス信号を送るシーンは実にかわいらしくて、名作『小さな恋のメロディ』を思い出した。子どもの心を忘れた大人には理解できない、日常の中の小さな宝物、あるいは押し込められた悔しい思い。オスカーの気持ちに寄り添ってくれたのが、ヴァンパイアの少女だったのだ。永遠の時をさまよう者に恋してしまった少年は、さて何を選んだのか。想像の余地を残す意味深い結末だ。
ホラー映画の陰影に、ラブストーリーの詩情を重ね、味わい深い作品に仕上げたのは、トーマス・アルフレッドソン監督。本作は各国で多くの賞に輝き、ハリウッドリメイク版も近日公開が待たれている。
(ライター 宮田彩未 )