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誰でもみんな「和んで話って輪になって家」

「近所の人と話したい」「みんなで集まれる場所がほしい」。そんな思いをかなえる〝居場所〟が、昨年12月嵯峨野に誕生しました。地域の人の交流スペースとして親しまれているようです。

住宅地の中に立つガラス張りの家が「和んで話って輪になって家」。引き戸を開けて、中へどうぞ

嵐電「有栖川」駅から南へ15分ほど歩いた住宅地。畑の前に立ち並ぶ家の中に、お店のようなガラス張りの建物が。〝高齢者の居場所〟として開かれた「和んで話って輪になって家」です。

戸を開けると、2つ並んだテーブルは満席。この日は10人が集まっていました。「どうぞ座ってください」と声をかけてくれたのは中川孝廣さん(66歳)。午前10時~午後4時の間、毎日この場所を地域の人のために開放しています。

「昨日焼いたんです」とリンゴのケーキを運んできてくれたのは、中川さんの妻・和子さん(68歳)。「糖尿病の人もいますから、砂糖は使っていないんですよ」とのこと。無料で用意されているコーヒーと一緒にいただきました。「リンゴが甘くておいしい!」と参加者からも好評です。

「卓球の帰りにいつも立ち寄ります。友達とのんびり長居して話せる場所はあまりないので、ありがたいですね」といった常連から、「この前友達に連れてきてもらったんです。今回で3回目」という人まで。近所の人を中心に、だんだんと浸透していっているよう。

「夫婦げんかしたときは避難してくる。キッチンもあるし、住みたくなるわ」「それじゃあなたの別荘じゃない」なんて冗談も交わされます

気軽に集える場所を目指して

「2人で過ごす時間も長くなりました」と話す、中川さん夫婦

60歳までは飲食店を経営していたという孝廣さん。仕事を辞めて近所の人との時間が増えると、地域に高齢者が多いことが気になったそう。もっと近所の人が交流できる場を開こうと、居場所づくりに踏み切りました。

「10年ほど前に事故にあい、足が不自由に。誰かに寄り添ってほしい、人と集まりたい、という思いが強くなりました。行動を開始したのは昨年の3月。自宅の裏が空き家になったので、知り合いに頼んで工事を進めました」(孝廣さん)

「自宅にはもともと近所の人が集まっていましたが、人の家だとどうしても気兼ねしてしまう。ここだと気軽に来てくれ、中には子どもを連れてくる人も。にぎやかに過ごせています」(和子さん)

話をしている途中、知り合いが道を通り、中から手を振る場面も。

「ガラス張りだと、向こうから中が見えるだけではなく、こちらも外の人に気づけるんです。自宅ではこうはいきません。まだ始めたばかりですが、これからもっと〝居場所〟として地域に根付いていければと思います」(孝廣さん)

「和んで話って輪になって家」(右京区嵯峨野投渕町6-20)は午前10時~午後4時、毎日オープン。予約不要、参加無料。

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