やっぱり体に関しては…「まぁ大丈夫やろ」はNGワード

case3. もっと早く受診しておけば

読者の声

       数カ月前から母に腹痛と便秘の症状があり、その後、血便が出はじめました。様子を見ようと放っておいたため、病院に行ったときには、大腸がんがリンパまで転移。少しでもおかしいなと思ったときに受診していれば、と後悔の日々です(チェリー・40歳)

読者の声

治療した虫歯の詰め物が取れたものの、痛みがないのでそのままに。しばらくして病院に行くと、うみがたまっており、きれいになるまで処置できないとのこと。それから1カ月に1回、かれこれ2年ぐらい通院しています。こんなに長引くとは…(ぷーさん・41歳)

早めの受診が、重症化を防ぎ、命を守ることに

「病気には、突然発症する急性のものと、徐々に進行する慢性的疾患があります。同じ症状が長引いており、それに対して受診をしていない場合は、一度医師に相談することをおすすめします」(阪上さん)

肝硬変、慢性腎不全、慢性すい炎などの慢性疾患は、重度になると長期間にわたる治療のほか、食事・運動などの生活コントロールも必要。本人だけではなく、家族にも大きな負担を伴います。

「定期的な検診や医療機関への受診は、重症化を防ぐためにも有効です」

転倒や転落といった体に起こったアクシデントにも注意が必要とのこと。

「特に、頭部や体幹部に衝撃を受けた場合は、表面的に出血やはれが見られなくても、早めに病院へ。脳の中枢神経や重要な臓器の損傷も考えられるので、受診が遅れると命に関わる危険性もあります」

受診の際は、症状や状況を時系列で整理し、服用している薬や病歴などの情報も併せて医師に伝えると、よりスムーズで的確な診断と治療につながるとも。「もしものとき」に備え、用意しておくといいですね。

case4. 家族の異変にも目配り

読者の声

       子どもが階段で足を滑らせ、頭を打ちました。直後は普段と変わらず元気でしたが、翌朝、飲んだ牛乳を戻してしまい、病院へ。診断は後頭部骨折で、先生によると「昨夜がヤマでした」。子どもの様子はわかりにくいので、普段から目を配り、おかしいと気づいたらすぐに病院に行くことが大切だと思いました(さくら・48歳)

読者の声

治療した虫歯の詰め物が取れたものの、痛みがないのでそのままに。しばらくして病院に行くと、うみがたまっており、きれいになるまで処置できないとのこと。それから1カ月に1回、かれこれ2年ぐらい通院しています。こんなに長引くとは…(ぷーさん・41歳)

子どもや高齢者の健康管理は、特に注意して

「子どもの場合、本人が痛みや不調を感じていても、その症状を言葉で表現しにくいもの。『普段と様子が違う』『元気がない』と気づいたら、何かの異常が隠れているかもしれません」(小野さん)。ケース3の解説にあるように、頭を打って骨折するなど重症になることもありえます。

「高齢になると、身体機能の低下などによって、本人が異変を察知する機能も鈍化。自覚症状が乏しいため、病気が悪化したり、発見が遅れることも。身近にいる人が日頃から健康状態を注意して見守っていくよう心がけて」

家族や友人からすすめられ、受診したという読者もいました。

「一人で悩んでいると、判断がつきかねて、タイミングを逃してしまうことも。周囲からの客観的な意見やアドバイスは、受診のための重要な目安のひとつであり、“背中を押す”きっかけにもなってくれます」

一歩を踏み出すための Q&A

読者が受診に踏み切れない理由はさまざま。病院と上手につきあうポイントを、医療ジャーナリストであり、京都薬科大学客員教授・「医療社会学」担当の北澤京子さんに聞きました。

どんな病院(科)に行けばいいのか分かりません(AO・40歳)
まずは、わが家の〝かかりつけ医〟へ
最初は、日頃から通っている地域の診療所などの〝かかりつけ医〟への受診をおすすめします。かかりつけ医がいない、あるいは、どこに行けばよいかわからない場合は、まずは近くの診療所に行くか、病院の「総合内科」または「総合診療科」に行くとよいと思います。
かかりつけ医は、症状や必要性に応じて、病院などをアドバイス・紹介し、患者と専門医とをつなぐことも役割のひとつ。その人の体質や病状、家族の病歴などの重要な情報も一括して把握されているので、より適切な診断・治療にもつながります。
通院には時間も費用もかかるのが気になって…(りのあやママ・53歳)
制度を知ることでメリットも

医療ジャーナリスト・
京都薬科大学客員教授
「医療社会学」担当
北澤京子さん

やはり、ポイントはかかりつけ医。かかりつけ医を持っておくと、通院や診断・治療にかかる時間や手間の軽減にも有効です。紹介状なしで大病院を受診すると、自己負担が発生することもあります。
身体的な事情で通院しにくい人は、医師による訪問診療、薬剤師の訪問薬剤管理指導を利用するのもひとつの方法です。
処方薬を院外の薬局で受け取る場合、自宅の近くや行きつけのドラッグストア内の薬局に決めておくのもおすすめです。病院からの帰り道や、買い物などをしている間に薬の準備ができていれば、時間的なロスも少なく済みます。
その薬局を「かかりつけ薬局」にして、どの病院を受診しても同じ薬局で薬を受け取るようにするとよいでしょう。薬剤師が、その人に処方されている全ての薬を「お薬手帳」にまとめ、重複や飲み合わせなどもチェックしてくれるので、ムダな出費が抑えられ、薬を自己管理しやすくなります。

便利?紛らわしい?インターネットの情報と上手につきあうために

体の不調や、気になることは、まずインターネットで調べるという人も多いのでは。情報収集には役立ちますが、そのまま〝うのみ〟にしてもいいのでしょうか。インターネットの医療情報との付き合い方を北澤さんに聞きました。
「まず、チェックしたいのは『いつ』の情報かということ。医療の進歩や研究などにより、状況は日々変わっていきます。日付けなどを確認して、最新の情報を入手するようにしましょう。
また、情報の中には宣伝や販売を目的としたものもあり、大げさに病気への危機感をあおっているケースも。情報の信頼性を判断するには『誰が、どんな目的で発信したか』もポイントになります。
病気への不安があったり、逆に大丈夫と思いたいときは、自分の気持ちを肯定してくれるような情報しか見えてこないし、見ようとしない傾向があります。インターネットに混在する膨大な情報と上手につきあうには、受け手である私たち自身が、冷静に情報を見極めていく力を養うことも必要です」

困ったときに、利用してみては

  • 京都府の「医療ほっとあんしん相談」=TEL:075(451)9292=をはじめ、
    各市町村の保健所・保健センターにも相談窓口があります
  • 家の近所で、今すぐ診てもらいたい、というときに医療機関が探せるのが、
    「京都健康医療よろずネット」(http://www.mfis.pref.kyoto.lg.jp/)です

このページのトップへ