「こんなお店があったらいいのに」「どうしてないのかしら?」などと思った気持ちから、「じゃあ、私が作ってみよう!」と起業した女性が、京都にもたくさんいます。そんなアイデア光る女性たちを取材してきました。
IT企業で転職を重ね、不眠不休の働きぶり。「仕事はやりがいがありましたし、社内でも評価されていました。でも、心身ともに疲れていて、月に1、2回は原因不明で倒れるような生活でした」と、5年ほど前の自分の姿を思い出しながら、朗らかに語る高山清美さん。
そんな会社員時代に出合ったのがハーブティー。「いただき物だったんですが、おいしかったんですよ。それまでは、ハーブティー=まずいというイメージがあって…」
その後、高山さんは“おいしいハーブティー”を求め歩き、いつしかハーブティーに詳しくなっていったそうです。2008年、仕事に区切りをつけて京都に帰ってきたのち、ひょんなことからお店を持つことに。そのとき、高山さんがイメージしたのは、「私もそうでしたが、体の不調など一人一人のお客さんの要望に合わせたハーブティー専門店。もちろん、おいしいもの!」。
09年、ハーブティーとアロマ雑貨のお店「ぷくすけ」を起業。「茶葉のブレンドには自信がありましたが、1年目は、価格設定などに悩みました。飲みやすいものという注文が一番多く、今では全国からお客さんが来てくれるので、受け入れられたのだと思っています」
「頭が大きくて髪が多い。昔から、かぶれる帽子がなくて困っていました」
そう話す三角(みすみ)瑞代さんは、今年1月に「帽子屋ポピンズ」を起業。“帽子に困っている人のための帽子屋さん”として、ホームページ上で帽子のカウンセリングとオーダーを受けています。
「かぶれる帽子がない…」。悩みを抱えたまま大人になった三角さんは、夫の転勤を機に東京で帽子専門学校に入学。帽子作りを一から学びました。「積年の悩みを克服し、さらには同じ悩みを抱えている人のために、帽子を作りたいと考えたんです」
そうこうしているうちに、転勤で今度は京都へ。2009年、手作り市に“大きいサイズの帽子の店”を出店したところ、「自分と同じような悩みを持っている人はとても多いと実感しました」。
ますます起業への思いが強くなり、11年には京都府男女共同参画センターが主催する起業セミナーを受講。同じころ、成人男女の頭のサイズと帽子に関する聞き取り調査をスタートしたのです。
これまで集めた女性約450人分のデータでは、57~58cmのいわゆる普通サイズに該当する人は、3分の1程度でした。普通サイズより大きい人も同じくらいいるにもかかわらず、お店に並ぶ帽子は、普通サイズかそれ以下がほとんど。「サイズのほかに、頭の形に合わない、似合わないことが悩みの上位に。“誰にでも似合いやすいちょっとおしゃれな帽子”を追求していきたいですね」